課税事業者選択届出書の提出期限や注意点は?よくある3つの疑問点

課税事業者選択届出書の提出期限や注意点は?よくある3つの疑問点
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課税事業者選択届出書の提出期限や注意点は?よくある3つの疑問点


「課税事業者選択届出書」は、消費税に関する届出書の1つです。
消費税を節税するために税務署へ提出する書類ですが、どのような事業者が提出すれば節税につながるのかをご存じですか?もし節税できる事業者であるにもかかわらず「課税事業者選択届出書」を提出していなければ、損をしていることになります。
ここでは「課税事業者選択届出書」や「課税事業者選択届出書」の提出期限についてよくある疑問を、3つのポイントに絞って解説していきます。

|-消費税の課税事業者選択届出書とは?

消費税の「課税事業者選択届出書」とは、免税事業者が課税事業者になるために税務署へ提出する届出書です。

免税事業者とは、消費税を納税することを免除されている事業者であるため、消費税を納税する必要はありません。
消費税の納税額が0円であることから、免税事業者がもっとも効果的に節税できていると思われるかもしれません。
しかし、課税事業者に変更したほうがもっと有利になる場合があるのです。

<免税事業者よりも節税効果のある課税事業者とは?>
免税事業者よりももっと節税効果のある課税事業者は、輸出事業者です。
輸出事業者は仕入税額控除を適用することで、消費税額の還付を受けることができることがその理由です。
もし、輸出事業者が免税事業者のままであれば消費税額は0円です。
しかし、輸出事業者が「課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になれば、仕入にかかった消費税を受け取ることができるので、手元に残るお金を増やすことができるのです。

例)輸出事業者の仕入にかかった消費税が50万円だった場合

納める消費税 戻ってくる消費税 手元に残る金額
免税事業者 0円 0円 0円
課税事業者 0円 50万円 50万円

<「課税事業者選択届出書」の提出期限は?>

「課税事業者選択届出書」の提出期限は、適用を受けようとする課税期間初日の前日までとなっています。
たとえば、4月1日~3月31日の事業年度で翌期から課税事業者になる場合は、今期の3月31日までに「課税事業者選択届出書」を税務署へ提出すれば、翌期から仕入にかかった消費税を受け取れるようになります。
また、4月1日~3月31日の事業年度で「課税事業者選択届出書」を税務署へ提出したのが今期の4月1日になってしまった場合は、今期は課税事業者になることはできません。
さらに翌期の4月1日~3月31日の事業年度で課税事業者となるので気を付けましょう。
提出を失念した場合、課税期間の短縮(3ヶ月毎の申告)を選択することで、1年先まで待つことなく課税事業者になる方法もあります。
その場合でも会社の決算は年1回で大丈夫です。
消費税は年4回申告することとなりますが。

|-課税事業者選択届出書を提出するときの注意点とは?

「課税事業者選択届出書」を提出してから2年間は、原則として以下2つの手続きができなくなります。
①免税事業者に戻ることができない
②簡易課税制度を選択することができない

また、課税期間中に1,000万円以上の棚卸資産や調整対象固定資産を仕入れた場合は、例外として3年間に延長される点で注意が必要です。

|-免税事業者に戻りたい場合は?

課税事業者が免税事業者に戻りたい場合は、消費税の「課税事業者選択不適用届出書」を税務署へ提出します。
たとえば、4月1日~3月31日の事業年度で、今期の3月31日までに「課税事業者選択不適用届出書」を提出した場合は、翌期の4月1日から免税事業者になります。
しかし、課税事業者は上述の通り2年(一定の場合は、3年)継続しなければ、免税事業者に戻れないので、注意が必要です。

まとめ

免税事業者である輸出事業者が「課税事業者選択届出書」を税務署へ提出することによって、納税する消費税を0円にするだけでなく、仕入にかかった消費税を受け取ることができるようになります。
売上にかかる消費税よりも仕入にかかる消費税のほうが常に上回る場合は、免税事業者よりも課税事業者に変更したほうがお得です。
これから輸出事業を始めようと思っている事業者は、提出期限のタイミングに気をつけながら、この還付テクニックを活用してみてください。

参考URL
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6501_qa.htm#q1
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_02.htm
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_01.htm
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6502.htm
http://www.ntata.com/information43.html

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