給与計算業務をアウトソーシングする前に知っておきたい3つのポイント

給与計算業務をアウトソーシングする前に知っておきたい3つのポイント
Pocket

給与計算業務をアウトソーシングする前に知っておきたい3つのポイント


給与計算業務をアウトソーシングすることによって、さまざまなメリットがあることは言うまでもありません。
給与計算業務の担当者を確保する必要がなくなるだけでなく、浮いた人件費で営業担当者を新たに雇用し、業務拡大を視野に入れた人材マネジメントが可能になります。
今回は、給与計算業務のアウトソーシングを検討している企業担当者が知っておくべき3つのポイントを紹介していきます。

目次
|-給与計算業務のどの部分をアウトソーシングするのか
– 給与計算業務のアウトソーシングを決定する方法
– 初めからすべてをアウトソーシングしたほうがいいケース
|-給与支給体系を改めて確認する
– 労働問題のリスクを未然に防ぐ
|-社会保険の適用拡大対象事業者になっていないか
– 適用拡大対象事業者の確認方法
|-まとめ

|-給与計算業務のどの部分をアウトソーシングするのか

給与計算業務のアウトソーシングを検討する点において、どの部分をアウトソーシングするのかという点が課題となります。

❖給与計算業務のアウトソーシングを決定する方法

給与計算業務のどの部分をアウトソーシングするのかを決定するためには、自社の給与計算業務を以下の4つに分けることから始めます。

1.毎月の勤怠データ管理
2.給与の算定や立替経費精算に関する業務
3.年末調整
4.入退社に関する事務

そして、上記4つに分類した給与計算業務に対して、それぞれどれくらいの負荷がかかっているのかを数値化して把握しましょう。

大きく負荷がかかっている業務をアウトソーシングする方法を採用することもできますが、最もリスクが少ないのは、それほど大きく負荷がかかっていない部分からアウトソーシングする方法です。
そうすれば、様子を見ながら負担の大きい業務を順次アウトソーシングしていくことが可能となります。

❖初めからすべてをアウトソーシングしたほうがいいケース
給与計算担当者が退職することが事前に分かっている場合は、一気にアウトソーシングする方法がベストプラクティスとなる可能性が高くなります。自社にとって最適な方法を見極めることも重要なポイントとなってくるでしょう。

|-給与支給体系を改めて確認する

時間外賃金や健康保険加入など、法的な整備が整っているかを確認しておく必要があります。
何故なら、貴社の給与規定が労働に関する法令に抵触している可能性があるからです。

❖労働問題のリスクを未然に防ぐ

もちろん労働関係法令を遵守する範囲で、企業ごとに給与支給に関する取り決め(36協定等)を行ってよいことになっています。
しかし、昨今ではタイムカードを押したあとにサービス残業を強要させるといった、いわゆるブラック企業が問題になっているため、厚生労働省や労働基準監督署による監視が強化されています。

特に、

・医療業、福祉業では深夜の時間外労働
・運送業でのサービス残業
・歩合給を採用している場合の時間外労働

などが、適切に支払われていないケースがあります。
上記のようなことが事実であれば、退職した従業員から未払い賃金を請求されるリスクも伴います。

アウトソーシングをする前に、サービス残業の未払い等がないかあらかじめ確認し、法整備がなされているかについて改めて見直すようにしましょう。

|-社会保険の適用拡大対象事業者になっていないか

いわゆる106万円の社会保険の適用拡大(会社の従業員数(被保険者)が501人以上の場合)によって、健康保険と厚生年金が未加入になっている従業員がいないかを確認するようにします。

❖適用拡大対象事業者の確認方法

自社が社会保険の適用拡大対象事業者であるかどうかは、日本年金機構から「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が送付されているかによって確認することができます。
いくら従業員がパートやアルバイトの短時間労働者であったとしても、「月収88,000円以上(年収106万円以上)」「週の所定労働時間20時間以上」「雇用期間が1年以上」といった適用拡大の対象従業員となる条件を満たせば、被保険者の加入手続きをとる必要があります。
アウトソーシング前に未加入者がいれば、新規加入手続きを行うようにしましょう。

まとめ
給与計算業務をアウトソーシングする前に、企業担当者が知っておきたいポイントを3つご紹介しました。
これらの点に留意するだけでなく、アウトソーシングすることによって達成したい具体的な目標(人件費をいくらコストカットしたいのか)を掲げることも重要なポイントとなります。
また、あまり触れさせたくない給与情報を、社員ではなくアウトソーサーのみに開示することで、情報漏洩のリスクをヘッジできることもメリットの1つとなります。今回ご紹介した内容を参考にして、給与計算業務のアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか?

参考URL
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai/
http://www.tosyakyo.or.jp/kouhou/shinpou/1609/p2.html

【免責及びご注意】
読者の皆さまの個別要因及び認識や課税当局への主張の仕方により、税務リスクを負う可能性も十分考えられますので、実務上のご判断は、改めて専門家のアドバイスのもと、行うようにして下さい。
弊社は別途契約を交わした上で、アドバイスをする場合を除き、当サイトの情報に基づき不利益を被った場合、一切の責任を負いませんので、予めご了承ください。