寄付金で法人税を安くできる?損金算入できる寄付金とできない寄付金の違い

寄付金で法人税を安くできる?損金算入できる寄付金とできない寄付金の違い
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寄付金で法人税を安くできる?損金算入できる寄付金とできない寄付金の違い


会社が寄付をすると、納める法人税を安くすることができるのでしょうか?もし法人税を安くすることができるなら、国に税金を納めるより支援したい団体へ寄付したいと考える方がいらっしゃるかもしれません。
今回は、法人税を安くできる寄付金とできない寄付金の違いについて解説していきます。
法人税を安くできる寄付金について理解すれば、もっと節税することができるようになります。

|-寄付金の損金算入限度額とは?

法人ができる寄付金には損金算入限度額という制限があります。

一般的に寄付金は見返りを求めない行為となっているため、上限額が設定されることに違和感を覚える方がいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、歯止めなく法人が寄付をして法人税を安くすることができれば、国に納める税収が減少してしまうという問題が起こります。
かといって、公益を目的とした法人の寄付金までも費用にすることができなければ、不当に会社が納める法人税の負担が重くなってしまうという問題も発生します。
そのため、国と会社それぞれのバランスをとるために、寄付金の損金算入限度額が設けられることになったのです。

結果として、

・寄付金の損金算入限度額の範囲内であれば、法人税を安くすることができる
・寄付金の損金算入限度額を超えた寄付金は、法人税を安くすることができない

ということになります。

|-法人税を安くできる寄付金の種類とは?

法人税を安くすることのできる寄付金は、一般の寄付金と指定寄付金、特定寄付金の3種類があります。

<一般の寄付金>

以降にご紹介する指定寄付金と特定寄付金以外の寄付金をいいます。
寄付をした法人の資本金や所得金額に応じた損金算入限度額が決められます。
政治活動に関する寄付金は、一般の寄付金に該当します。

<指定寄付金>

国や地方公共団体への寄付金は指定寄付金となり、損金算入限度額とは関係なく全額損金として法人税の節税に役立てることができます。

<特定寄付金>

特定公益増進法人や認定NPO法人等への寄付金は特定寄付金となり、一般の寄付金とは別枠の限度額が設定されます。
企業版ふるさと納税は特定寄付金に該当します。

|-寄付金の具体的な損金算入計算方法

それでは実際に、損金に算入できる寄付金の具体的な計算を行ってみたいと思います。
計算する手順は以下のとおりです。

①会社の財務状況から資本金基準額と所得基準額を求める
②資本金基準額と所得基準額から損金算入限度額を求める
③寄付をした金額のうちいくらまでを損金算入できるのかを判定する

<会社の財務状況から資本金基準額と所得基準額を求める>

寄付をした会社の財務状況から、資本金基準額と所得基準額を求めます。

・当期末の資本金5,000万円
└資本金基準額=5,000万円×12/12×2.5/1,000=125,000円
・所得の金額500万円
└所得基準額=500万円×2.5/100=125,000円

<資本金基準額と所得基準額から損金算入限度額を求める>

損金算入限度額=(125,000円+125,000円)×1/4=62,500円

<寄付をした金額のうちいくらまでを損金算入できるのかを判定する>

・一般の寄付金の合計額が5万円だった場合
寄付金5万円は損金限度額62,500円の範囲内であるため、すべて損金算入することができます。
・一般の寄付金の合計額が10万円だった場合
寄付金10万円は損金限度額62,500円を超えているため、62,500円を損金算入とし、37,500円を損金不算入額とします。

まとめ

寄付金を使って法人税を安くできるかどうかは、

・寄付金の損金算入限度額
・寄付金の種類

の2つが重要なポイントとなります。資本金と所得金額が分かればカンタンに損金算入限度額を計算することができるので、法人税を安くするためのテクニックとして是非活用してみてください。

参考URL
https://www.nta.go.jp/ntc/kouhon/houjin/pdf/06.pdf#page=15
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/04_3.htm
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