出張の密やかな楽しみ !? ~出張の日当は所得税の非課税扱いです!~

免許皆伝 会計事務所の実践ノウハウ
Pocket

出張の密やかな楽しみ !? ~出張の日当は所得税の非課税扱いです!~


あなたの商売に出張はありますか?

頻繁に出張があるような仕事であれば、日当規定を作っておきましょう。
日当と聞くと、その日の労働報酬のように聞こえるかもしれませんが、ここでは出張により普段以上にかかってしまう経費補てんのための手当てのことを言います。

出張先では外食を余儀なくされるため支出も伴いますし、旅先ゆえにわざわざ買わないといけないものも増えてしまうものです。
実は、税務上この日当が所得税の非課税となっているのです。

ポイント
1. 会社の費用となり、個人の非課税収入となる日当は、メリット大
2. 日当を支給するために規定を作ろう
3. 日当の世間相場は国内 5,000 円 / 日、海外 10,000 円 / 日以内(取締役の場合)

1.日当は旅費に含まれる

確かに一般的な感覚としては、日当は1日当たりの労働の対価という意味から、通常の給与に加えて支給する必要はないというのもわかります。
しかしながら、税務では、日当は旅行に伴う食事代その他の雑費的な費用に充てるためのものとされており、一般の旅費としての交通費、運賃、宿泊費、支度料等と同様、旅費の性格を持つものとされています。
実際のところ、朝と夜も外食せざるを得ませんし、家族と話すためにも電話をしなければなりません。
また、余分な新聞を購入しなければならないなど、出張したことによって出費が発生することは間違いありません。
したがって、その支給額が相当なものであれば、旅費として非課税扱いが認められます。

2.どこまで認められるか

本来、会社の経費は実費精算の可能な部分は実費精算が原則です。
交通費・宿泊費・日当も安易に「1回○万円」というように渡しきりにしていると、税務調査では問題となる可能性があります。
しかし、現実問題として、すべての旅費を精算するとなると、処理は大変、繁雑になってきます。特に日当については不可能に近いのではないかと思われます。
そこで、実務的には、出張に充てられる金品で、「通常必要と認められるもの」を非課税とすることになっています。

 この「通常必要と認められるもの」は、

 ① 旅行の目的
 ② 目的地、行路
 ③ 期間の長短
 ④ 宿泊の要否
 ⑤ 職務内容、地位

などに照らして判定されます(所得税法基本通達9―3)が、次の事項が勘案されることになります。

(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員および使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準により計算されたものであるかどうか。

(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

3.旅費規定を作成しましょう?

宿泊代と交通費以外、実費精算せずに一律に支給するには、通常必要と認められる旅費を旅費規定に定める必要があります。
その際、上で述べたように、目的地、職務内容・地位が勘案されることを踏まえて、

 ① 役職(社長、役員、部課長、一般社員など)
 ② 出張場所の遠近

により、日当の金額に差を設けるのがよいでしょう。
具体的な金額については通達にも示されていないため、難しいところです。
ただ、日当は出張をしたことで余分にかかる諸雑費ですから、高額になることはありえません。

過去の経験から、取締役5,000円/日以内、一般社員3,000円/日以内、また海外出張の場合で、取締役10,000円/日以内、一般社員5,000円/日以内が一般的な設定金額だと思います。

また一定の取締役のみ日当支給を受けている場合などは、非課税扱いとなりませんので、十分注意して下さい。

国家公務員や地方公務員などでは、法律や条例で日当を定めていますので、そうしたものが参考になると思います。
公務員に認められている水準なら、民間企業でも大丈夫なはずということです。ここでは、国家公務員等の旅費に関する法律(別表第一の一)で規定されているものを掲げておきます。

国家公務員や地方公務員などでは、法律や条例で日当を定めています

【免責及びご注意】
読者の皆さまの個別要因及び認識や課税当局への主張の仕方により、税務リスクを負う可能性も十分考えられますので、実務上のご判断は、改めて専門家のアドバイスのもと、行うようにして下さい。
弊社は別途契約を交わした上で、アドバイスをする場合を除き、当サイトの情報に基づき不利益を被った場合、一切の責任を負いませんので、予めご了承ください。