借り上げ住宅を役員へ貸す方法とは?知っておきたい3つのポイント

借り上げ住宅を役員へ貸す方法とは?知っておきたい3つのポイント
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借り上げ住宅を役員へ貸す方法とは?知っておきたい3つのポイント


会社役員へ借り上げ住宅を貸すときに気を付けなければならないポイントをご存じですか?従業員へ貸す場合に比べると、一般的には豪華な住宅になりがちです。
特に海外から駐在している外国人の役員の場合は、それなりの住宅を提供することが条件となっていることがあります。
今回は役員へ提供する借り上げ住宅を、
1.小規模な住宅
2.小規模ではない住宅
3.豪華な住宅
の3種類に分けて解説していきます。

|-小規模な住宅の場合

役員へ提供する借り上げ住宅が小規模な住宅に当てはまる場合は、役員から賃借料相当額(以下、法定家賃と言います)の家賃を支払ってもらえば課税されることはありません。

小規模な住宅の条件は以下のとおりです。
・建物の耐用年数が30年以下で床面積が132㎡以下の場合
・建物の耐用年数が30年超えで床面積が99㎡以下の場合

また、借り上げ住宅の法定家賃は以下1~3の合計額となります。
1.その年度の借り上げ住宅の固定資産税の課税標準額×0.2%
2.12円×(借り上げ住宅の総床面積/3.3㎡)
3.借り上げ住宅の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

たとえば、役員へ貸す借り上げ住宅が耐用年数22年の木造一戸建て120㎡の場合は、小規模な住宅の条件に当てはまります。
そして実際の家賃が20万円だったとしても、上記の算式で計算された法定家賃以上を受け取れば課税されないということになります。
実際その法定家賃がどのくらいになるかというと、実際の家賃の15-20%程度以内になることが多いため、今回の事例の場合は3-4万円が法定家賃ということになります。

|-小規模な住宅ではない場合

役員へ提供する借り上げ住宅が小規模な住宅に当てはまらない場合は、前述した小規模な住宅に当てはまる場合に比べて、
・固定資産税課税標準額を基礎とする計算方法が変わる
・実際の家賃の50%以上の家賃を受け取らないと課税される
・という違いがあります。

借り上げ住宅が小規模な住宅に当てはまらない条件は以下のとおりとなります。
・建物の耐用年数が30年以下で床面積が132㎡(共用部分を含む)を超える場合
・建物の耐用年数が30年超えで床面積が99㎡(共用部分を含む)を超える場合

そして賃借料相当額の計算方法ですが、下記のどちらか多い方が賃借料相当額となります。
(1)固定資産税課税標準額による計算
次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
イ(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
ただし、建物の耐用年数が30年を超える場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

(2)実際の家賃の50%

それでは実際に、具体的な事例をあげて課税されるボーダーラインを求めてみましょう。
借り上げ住宅が耐用年数47年の鉄筋鉄骨コンクリート造のマンション200㎡の場合は、小規模ではない住宅となります。そして、
・会社が貸主へ支払う家賃が100万円(比較対象は50%の50万円)
・固定資産税課税標準額による計算結果が30万円
という場合の法定家賃は、実際の家賃100万円の50%(50万)が30万円よりも大きい金額となりますので、50万円となります。

|-豪華社宅の場合

役員へ提供する借り上げ住宅が豪華社宅に当てはまる場合は、実勢価格が法定家賃となります。

豪華社宅に当てはまる条件は、床面積が240㎡を超えることが原則です。
しかし、取得価額や支払賃貸料、内外装などで総合的に豪華社宅であるかが判定されることになります。

しかし、床面積が240㎡以下であってもプールなどの設備がある場合は、豪華社宅として判定されます。
プールがあると言っても、昨今の都心タワーマンションのように共用施設として入居者全員が利用できるような豪華施設は、ここで言う豪華社宅には該当しません。

まとめ

役員へ借り上げ住宅を貸すときは、

1.小規模な住宅
2.小規模ではない住宅
3.豪華な住宅

のいずれかに当てはまるのかを確認する必要があります。
それぞれ課税のボーダーラインである法定家賃の計算方法が異なるからです。
役員へ借り上げ住宅を貸す場合は、これらのポイントに気を付ければ賢く節税することができるようになります。

参考URL
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2600.htm

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