会社設立前に知っておきたい社会保険に関する2つのこと

会社設立前に知っておきたい社会保険に関する2つのこと
Pocket

会社設立前に知っておきたい社会保険に関する2つのこと


これから会社設立をして従業員を雇おうと思っている人は、従業員の社会保険について予め知っておくと安心です。
今回は、「労働保険」「健康保険と厚生年金」の2つについて詳しく解説してきます。

目次
|-従業員を1人でも採用したら加入しなければならない「労働保険」
|-従業員がパートでも被保険者となることがある「健康保険と厚生年金」
|-まとめ

|-従業員を1人でも採用したら加入しなければならない「労働保険」
まず、従業員を1人でも採用したら加入しなければならない「労働保険」があります。
労働保険とは労災保険と雇用保険を合わせた総称のことで、労災保険料は雇用者側のみ負担(一般的な業種の料率は0.3%)するものですが、一方雇用保険は一般的な業種の場合、雇用主(0.6%)及び従業員(0.3%)[※平成30年度]の料率を賃金(基本的に、給与+通勤費)に対して乗じた保険料を、労災保険とともに労働保険申告として、年1回7月に申告し、納付を行います。

|-従業員がパートでも被保険者となることがある「健康保険と厚生年金」
雇用する従業員がパートやアルバイトも、健康保険と厚生年金を会社が支払うことがあります。
健康保険と厚生年金を負担しなければならないのは正社員だけということはありません。
パートやアルバイトでも「1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が常時雇用者(正社員)の3/4以上」となる場合は、会社がその従業員の健康保険と厚生年金を負担する必要があるのです。これは通称「3/4ルール」と呼ばれているものです。

従業員が主婦や学生の場合は、夫や親から扶養してもらっている人が大半となるため、基本的には会社がその従業員の健康保険や厚生年金を負担する必要はありません。
しかし主婦や学生が扶養される条件として各健康保険組合で「認定基準」が設けられており、年収が130万円を超える家族は扶養できないのが一般的です。
そのため、パートやアルバイトに支払う給与収入が130万円以上になるとその従業員は被扶養者の認定基準から外れることになり、被保険者として健康保険と厚生年金に加入しなければなりません。

そして、そのパートやアルバイトの従業員が3/4ルール(正社員の3/4以上の就業)を満たしていれば会社がその従業員の健康保険と厚生年金を負担する必要が出てきます。
もし満たしていなければ、従業員が国民健康保険と国民年金の加入手続きをすることになります。
国民健康保険と国民年金の加入手続きは会社が手続きするのではなく、従業員がお住まいの市区町村の窓口で手続きします。

130万円の認定基準は会社の社会保険と関係ないと解説している記事をネット上で見かけることがありますが、扶養から外れることになった従業員が3/4ルールを満たしていれば雇用先の会社経由で健康保険と厚生年金に加入することが義務付けられているため、全く関係のない話であると言い切ることはできません。

さらに、3/4ルールを満たしていなくても常時501人以上の会社規模になると所定労働時間や所定労働日数が正社員の3/4未満であったとしても、下記4つの条件を満たす人は会社が健康保険と厚生年金を負担する必要があります。

・毎月の賃金として88,000円以上を支払っている(年間収入105.6万円≒106万円)
・1週間の所定労働時間が20時間以上である
・雇用期間1年以上で雇用契約を締結している
・学生ではない

これらは、通称「106万円ルール」と呼ばれているものです。

まとめ
会社設立前に知っておきたい社会保険のこととして、「労働保険(労災保険と雇用保険)」「健康保険と厚生年金」の2つを解説しました。

個人事業主と従業員5人未満という場合なら「任意適用事業所」となるため、健康保険や厚生年金の加入は強制ではありませんが、労働保険の支払いは必要となります。
そして常時雇用している従業員が5人以上になると「強制事業所」となり、従業員の健康保険と厚生年金を負担する必要が出てきます。
また法人の場合は、従業員の数に関わらず原則加入強制となります。

社会保険に関する手続きは、想像以上に時間と手間がかかります。
なぜなら、手続きをする窓口が1ヶ所ではなく3ヶ所(社会保険事務所、ハローワーク、労働基準監督署)あり、作成する書類が多岐に渡り、提出期限もあるからです。

会社設立に強い当事務所へご相談いただければ、社会保険に関することもトータルでサポートいたします。これから従業員を雇用しようと思っている経営者の方も、是非お気軽にお問い合わせください。

【免責及びご注意】
読者の皆さまの個別要因及び認識や課税当局への主張の仕方により、税務リスクを負う可能性も十分考えられますので、実務上のご判断は、改めて専門家のアドバイスのもと、行うようにして下さい。
弊社は別途契約を交わした上で、アドバイスをする場合を除き、当サイトの情報に基づき不利益を被った場合、一切の責任を負いませんので、予めご了承ください。