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高くつくのはどっち!? 役員報酬vs法人利益~税金の考え方、社会保険との相関性(代表者編)~

最適な役員報酬はどうやって決めるのか?
「社長の役員報酬をいくらにしたらよいのか」という質問をよく受けます。
本来、役員報酬は、株主から委任を受けて包括的に会社の業務を執行することの対価であり、株主総会で適正な金額を決めればよいものです。
業種、規模などで類似した会社のデータを参照して決めることもあります。
ただ、一人で起業した場合は、それこそ社長が自由に報酬額を決めることが普通ではないでしょうか。
問題は、法人利益との関係です。
役員報酬を上げれば、社長個人の所得税が増えて会社の法人税は減ります。
逆に役員報酬を上げれば、社長個人の所得税は減って会社の法人税が増えます。
また役員報酬の額と連動する健康保険などの社会保険料もあります。
本稿では、役員報酬と税金・社会保険料負担をシミュレーションし、役員報酬と法人利益の最適化を検討してみました。
「高くつくのはどっち!? 役員報酬vs法人利益」に関する解説は以下の通りです。お役に立てれば幸いです。

ポイント
1.想定利益1,000万円までは全額役員報酬で吸収して損なし
2.想定利益1,000万円~3,000万円までは、法人所得が800万円になった場合の税負担が最小(※中小企業の低減税率18%が寄与)
3.想定利益3,000万円~5,000万円超の場合は、役員報酬を2,500万円程度にすると税負担を最小化できる
4.個人のお金と法人のお金では使う際の自由度がまったく違う点をお忘れなく

1.役員個人と会社にどのような税金等がかかるのか

はじめに、役員個人と会社にどのような負担があるのかを考えてみましょう。

(1)役員報酬として個人にかかる負担

①所得税 
②住民税 
③社会保険料

(2)会社の所得にかかる負担

①法人税
②事業税
③県民・市民税
④社会保険料

オーナー会社の場合、役員個人の手取り金額と会社の留保利益金額は表裏の関係にあります。
同じ現金であったとしても、個人の現金と法人の現金では、使用する際の自由度が異なります。
個人の現金であれば、パチンコに行こうが、宝くじを買おうが自由ですが、法人の現金の場合そうはいきません。
法人事業に関係ない費用はオーナー個人に対する賞与とみなされることとなり、さらなる税金負担がのし掛かります。

そのため、一概に「個人の現金と法人の現金の合計が最大化することが最善」とは言えませんが、ここでは手取り役員報酬と税引き後法人利益の合計金額が最大になるのはどのようなケースなのかを試算してみました。

手取り役員報酬と税引き後法人利益の合計金額が最大になるということは、上記の役員個人と会社が負担する税金と社会保険料の合計額が最少になる役員報酬額が最適値と言い換えることができます。そして、これが役員報酬の損益分岐点といってもよいでしょう。
利益に対して課される税金(法人税・住民税法人税割・事業税)の割合のことを「実効税率」を呼んでいます。
ここでは、社会保険料の負担も加味したトータルな実質的税負担として用います。

2.試算の結果とポイント

試算にあたり、役員報酬を仮にゼロだったとして、1年間の会社の利益がいくらになるのを想定します。
ここでは、想定利益を500万円から5,000万円の7つのケースで設定し、シミュレーションしました。
その結果、下記のように3つに区分してポイントをまとめてみました。
なお、実効税率は次の計算式となります。

実効税率=D÷(X+Y)
D:所得税+住民税+法人税等+社会保険料
X:役員報酬(給与所得)
Y:法人課税所得

また、前提条件として、

①社長は40歳未満で扶養家族は配偶者のみ
②主宰役員(通常は社長)の損金不算入規定なし
③事業税額が翌年度損金(経費化)できる点を計算上無視

としています。

(1)第一グループ
第一グループ
第一グループ
以上、「第一グループ」の2つのケースでは、おおむね法人所得がゼロに近づくような役員報酬を設定すれば良いと言えます。

(2)第二グループ
第二グループ
第二グループ
以上、「第二グループ」の3つのケースにおいては、資本金1億円以下の中小法人では、法人所得が800万円以下の部分については、軽減税率が適用されます。
そこで、その軽減税率が適用される上限の800万円に合わせるのが、最も有利であることがわかります。

(3)第三グループ
第三グループ
第三グループ
以上、「第三グループ」の2つのケースでは、所得税・住民税の実効税率が高くなってしまうため、法人課税所得800万円はボーダーとはなりません。
給与所得が2,500万円前後であれば、実効税率への影響も小さくなります。
逆に法人所得が800万円に満たない場合は、法人税の低減税率18%のメリットを最大限享受できないので、実効税率は目立って上昇します。
冒頭に述べた通り、個人と法人ではお金を使う際の自由度が大きく異なります。

(1)から(3)をご覧いただいた上で、大体の実効税率がどれくらいなのか感覚的に掴んでいただければ十分です。

税金・社会保険負担率と実効税率のグラフ(参考資料)
税金・社会保険負担率と実効税率のグラフ(参考資料)

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