事業承継に関する概要の解説(2011年)
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事業承継に関する概要の解説(2011年)

1.事業承継の重要性
日本経済を支える中小企業では、近年、経営者の高齢化が進行する一方で、後継者の 確保がますます困難になっています。

対策をせずに放置していると、いざ事業承継という時に、相続を巡ってもめ事が起きる、 後継者が経営ノウハウを知らない、取引先・従業員の信頼を得られない、といった問題が生じ、 最悪の場合、廃業に至ってしまいます。

そのような事にならないためにも、事前に、後継者の候補者を見つけ、その候補者を 育成し、徐々に経営権を移していくといった計画的な取組みが大切です。

<計画的に事業承継を行わないと・・・>

○ 親族内紛争の発生。
○ 後継者が育っていない。
○ 取引先等との信頼関係が維持困難、金融機関からの返済要求。
○ 相続税等の負担、自社株式、事業用不動産の取得等に必要な資金が不足。

先代経営者から事業を引き継ぐにあたり苦労した点はありましたか。

経営力の発揮 35.8%
金融機関からの借入 24.7%
取引先との関係の維持 19.3%
一般従業員の支持や理解 19.1%
株式の買い取り 10.2%
相続税、贈与税の負担 10.1%
役員や経営幹部の支持や理解 9.1%
事業用不動産の買い取り 2.9%
その他 4.3%
特になかった 4.1%
無回答 26.3%
テーブル テーブル
2.事業承継を進める手順
1.事業承継計画の立案

現状の把握

①会社の現状(ヒト・モノ・カネ)
②経営者自身の資産等の現状
③後継者候補のリストアップ

2.承継の方法・後継者の策定

具体的対策の実行

❖ 親族内承継

1.関係者の理解

 ①事業承継計画の公表
 ②経営体制の整備

2.後継者教育

 ①社内での教育
 ②社外教育・セミナー

3.株式・財産の分配

 ①株式保有状況の把握
 ②財産分配方針の決定
 ③生前贈与の検討
 ④遺言の活用
 ⑤会社法の活用
 ⑥その他手法の検討

❖ 従業員等への承継

外部から雇い入れ

1.関係者の理解

 ①事業承継計画の公表
 ②現経営者の親族の理解
 ③経営体制の整備

2.後継者教育

 ①社内での教育
 ②社外教育・セミナー

3.株式・財産の分配

 ①後継者への経営権集中
 ②種類株式の活用
 ③MBOの検討

4.個人保証・担保の処理

❖ M&A/第三者への承継

1.M&Aに対する理解
2.仲介機関への相談
3.会社売却価格の算定と会社の実力の磨き上げ
4.M&Aの実行
5.ポスト M&A

3.事業承継計画の作成

中長期の経営計画に、事業承継の時期、具体的な対策を盛り込んだもの

3.現状の把握 ~事業承継計画立案への第一歩~
事業承継計画を立案するにあたっては、まず最初に会社をとりまく各状況を正確に把 握することが必要です。
主に、次のような各状況を正しく認識する必要があります。

(1)会社の状況

①会社の資産・負債の状況
②損益、キャッシュフロー等の現状と将来見込
③会社の競争力の現状と将来見込
④従業員の数、年齢等の現状

(2)経営者の状況

①保有自社株式の現状
②経営者名義の土地・建物の現状
③経営者の負債・個人保証の現状

(3)後継者候補の状況

①親族内に後継者候補がいるか
②社内や取引先に後継者候補がいるか
③後継者候補の能力・適正はどうか
④後継者候補の年齢・経歴・会社経営に対する意欲はどうか 

(4)相続時に予想される状況

①法定相続人及び相互の人間関係・株式保有状況の確認
②相続財産の特定・相続税額の試算・納税方法の検討
③従業員、取引先等の反応

4.事業承継計画の作成
事業承継計画とは、中長期の経営計画に、事業承継の時期、具体的な対策を盛り込んだも のです。

具体的には、

 1.事業承継の概要 後継者の確定、承継方法、承継時期 等
 2.事業の中長期目標 経営理念、事業の方向性、将来の数値目標 等
 3.事業承継を円滑に行うための対策・実施時期
   関係者の理解、後継者教育、株式・財産の配分 等

事業承継

5.親族内承継(詳細)
親族内承継は、後継者を早期に決定し計画的に準備できること、 内外の関係者から受け入れられやすいこと、などのメリットがあります。

他方で、以下のような課題がありますが、それに対処する方法をご紹介します。

① 親族内に適切な後継者がいるか。

  会社の資産、経営状況等を明確化し、後継者候補と意思疎通を図ることが
  重要です。
  適切な後継者教育も不可欠です。

② 複数の相続人がいる場合に、いかに相続紛争を回避しつつ経営権を後継者に
  集中するか。

  a)贈与・遺贈の活用

  後継者以外の相続人の遺留分問題を解消・・・経営承継円滑化法の「民法特例」
  の活用

( パンフレット『事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例』参照 )。

  b) 会社法の活用

  株式を相続した者に対し会社から株式の売渡請求をできる旨定款を変更。
   ※ 会社が株式を買い取るための資金については事業承継に係る金融支援措置
     があります。
     (パンフレット『事業承継における融資・保証制度』参照)。
  後継者以外の相続人に、議決権制限株式を取得させる旨遺言する
     (但し、遺留分に注意)。

③ 事業承継に伴う贈与税・相続税を支払えるか。

  経営承継円滑化法の認定を受けた場合には贈与税・相続税の納税が猶予されます。
  (パンフレット『事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度』参照)。

④ 後継者は、会社債務について、現経営者と同様に、個人保証や担保提供を
  求められることがあります。

  現経営者は、事業承継に先立って、できるだけ会社債務の圧縮を図り、後継者の
  負担を軽減するように努めることが大切です。
  また、個人保証や担保提供について疑問を感じたら、弁護士等の専門家に
  相談することが有益です。

6.従業員等への承継(詳細)
従業員等への承継は、会社の内外から広く候補者を求めることができ、特に社内で長期間 勤務している従業員に承継する場合は、経営の一体性を保ちやすいメリットがあります。

他方で、以下のような課題がありますが、それに対処する方法をご紹介します。

① 後継者となる従業員等に、現経営者が所有する株式等を買い取る資力があるか。

  経営承継円滑化法の認定を受けた会社の代表者個人(後継者)が、
  自社株式や事業用資産を買い取る場合、日本政策金融公庫・
  沖縄振興開発金融公庫の低利融資制度が利用できます。
  会社又は個人事業主については、信用保証協会の通常の保証枠とは
  別枠で保証が受けられます。

7.M&A-第三者への売却(詳細)
身近に後継者に適任な者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることで会社を存 続できるとともに、現経営者が株式等の売却の利益を得ることができます。

他方で、以下のような課題がありますが、それに対処する方法をご紹介します。

① 希望の条件(従業員の雇用、売却額等)を満たす買い手を見つけること
  ができるか。

  全国47都道府県に設置された「事業引継ぎ支援センター」で、
  売却の相手探し、交渉の進め方、手続等について無料で支援しています。

※中小企業庁:全国の事業引継ぎ支援センター
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2011/110630HikitsugiMadoguchi.htm

② 会社を購入しようとする第三者が現経営者が所有する株式等を
  買い取る資力があるか。

  ①と同様の金融支援が受けられます

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