経理は誰がする!? ~自分・家族・社員・アウトソース?~

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経理は誰がする!? ~自分・家族・社員・アウトソース?~


メリット・デメリットを総合的に判断しよう!

会社を始めたのはいいけれど、経理はまったくわからない。
そんな方は決して少なくありません。
実際に経理や財務部門での経験がなければ、会社の経理業務についての知識はないの当然です。
とはいえ、経理は会社経営では不可欠な業務です。
「いったいいくら儲けているのか」、「財務状態は良好なのか」、会社はこれらを把握するだけでなく、外部に対しても報告しなければなりません。
これが決算書であり、経理では決算のために日々の業務を積み重ねているといっても過言ではないでしょう。
税務の仕事もその一つです。
法人税は、会社が1年間の経営活動で儲けた利益に課税されます。
税額を計算するには決算が必要であり、決算を経ないと税額は出てきません。
そして、会社が新たな事業展開を進めていくうえで決算書は経営判断の重要なデータを提供してくれます。
問題は誰が経理を行うかということです。
経営者自身、家族、従業員、アウトソース。
この4者が行う場合のメリット、デメリットを総合的に考える必要があります。

ポイント
1. 会社設立時、社長に時間的な余裕があれば、自分でやるのも吉
2. 他人に任せる際は情報漏えい防止に十分配慮
3. 会計データを読み取ること、会計データがタイムリーに手元に届 くように管理体制を整えること、これが社長の役割
4. 経理処理を社外にアウトソースすると、月1.2万円必要

1.社長が経理をすると時間がかかる

まず、経営者自身、家族、従業員、アウトソースのそれぞれが経理を担当するとどうなるか、会社を起業した経営者に視点を置いて「時間面」で考えてみます。
経営者自らが経理を行うことは、よほど簿記・会計に精通しているのであれば別ですが、そうでなければ多大な時間を要します。
従業員やアルバイトの給与計算、源泉所得税の計算、それらの支払い、そして、年末には1年間の集大成となる年末調整もあります。
それこそ、寝る間も惜しんで経理を行わねばならなくなります。
経営者の仕事のウエイトが経理業務で占められてしまうというのは本末転倒でしょう。
この点、奥さんなどの家族や従業員に経理を任せれば、経営者は収益をあげるための時間に集中することができます。
これは、税理士のような経理のプロに任せた場合も同様です。
もっとも、アウトソースする場合であっても、毎月の請求書の管理など、社内的にはデータを整理する時間を誰かが割かねばなりません。

2.コストはどうなのか?

つぎに「コスト面」、つまり経費についてはどうでしょうか。当然のことながら、経営者や家族が経理を行えば、基本的に金銭的な出費はありません。
一方、経理のために従業員を雇うとなると、求人広告費と毎月の給与が発生するわけですから、負担はとても大きいといえます。
そのため、ある程度、経営が軌道に乗っても、経費削減のために経営者や家族が経理を行っているケースは少なくありません。
ただし、すでに従業員を雇い入れていて、その従業員に兼任させることができるようであれば効率的だといえます。
税理士などにアウトソースする場合、一定の経費がかかるのはいうまでもありません。

3.社内情報は守られるか?

経理で扱う決算にかかわる数字は、経営の実態をあらわす極めて重要な企業情報です。
売上や粗利の日計表、在庫、資金繰りなど、不用意に外部に漏れては会社経営に大きな支障があります。
また役員や社員の給与情報が社内に漏れてしまうと、社内の士気が下がり経営に悪影響が出ることもよくあります。
そのため、従業員については、情報漏えいに対する意識をしっかり持たせることが重要となります。
また、経理にはお金がからんできます。
現金や預金の移動は、定期的にチェックをするという内部統制の仕組みを徹底することが大切です。
アウトソースした場合は、会社の外で作業を行うこととなりますので、情報の受け渡しを十分管理すれば、情報漏えいの心配は少ないといえます。

4.経営者が経理を把握することは大切だが…

最後に「経営判断面」について考えてみましょう。
経営において決算書が重要であることは前述しました。
決算書とは、基本的には貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を指します。
貸借対照表は財政状況、損益計算書は収益状況、キャッシュフロー計算書は資金の流れ、というように客観的な数字で会社の成績や健康状態を把握するものです。
経営者として重要なことは必要な情報が必要なタイミングで手元にあることです。
そのために自身の時間をかけるのか、コストをかけるのかを費用対効果から判断して頂きたいと思います。

5.会社のステージに合わせた対応を!

さて、会社を立ち上げた当初は比較的時間が取れる経営者も多いように思います。
その場合は自分で経理処理に挑戦し、会計の基礎を習得することは将来的に会社が成長した時に、会計データを正確に読み取る上で、きっと役立つでしょう。
そして社員やアウトソースで経理を行う際には日程管理と情報漏えい防止を徹底してください。
最後に経営者のご家族が経理を担当する場合は、身内ゆえに経営に対していろいろと意見してくることを前提に任せるべきか否かを考えてください。

問題は誰が経理を行うかということです。経営者自身、家族、従業員、アウトソース。 この4者が行う場合のメリット、デメリットを総合的に考える必要があります。
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