節税の真髄とは?
税理士が徹底解説!経営者が知っておくべきたった1つのこと


うちの税理士はちゃんと節税をしてくれているのか?本当はもっとうまい方法があって、自分だけが知らないのではないか? 節税に関して、こんな疑心暗鬼に陥ってはいませんか? 節税について、考え方を知ることでスッキリ頭の中を整理することが出来ます。

 

♣経営者: 来年利益が増えそうなんだけど、節税どうしたらいいかなぁ

♣税理士: そうですね、節税保険はどうですか?

♣経営者: あれって、毎年保険料払わないといけないんだよね?

♣税理士: 年齢にもよりますが、5-6年から10年程度は最低続けてもらわないと、想定した節税効果はでないですね。

♣経営者: そんな5年から10年も順調に利益が出るかは分からないよ~

♣税理士: それなら短期前払い費用の一括損金化の規定を使って事務所家賃を12ヶ月分前払いしては?

♣経営者: そんなことできるの?賃貸借契約書に書いてあったかなぁ

♣税理士: 大家さんと相談してみてもらえます?賃貸借契約書に年払いが可能と書いていると尚可なのですが。。。

さらに、前倒しの年払いの方が、お得だったりするといいんですが。

♣経営者: なんか大事だなぁ。。。

♣税理士: あっでもこれ、あからさま租税回避目的だったり、事業規模や単年度利益に対するインパクトが大きい場合

税務調査で否認リスクがあるから気をつけないといけないんですよねぇ。参照URL

♣経営者: 。。。

♣経営者: 何か他にないの?

♣税理士: 中古の外車でも買ってみては?

♣経営者: クルマ運転しないよ~

♣税理士: 30万円未満のPCとか固定資産を買っては?年間300万円まで費用に落ちますよ?

♣経営者: 単なる無駄遣いじゃん。

♣税理士: あっ、忘れてた。経営セーフティ共済(倒産防止共済)は?

♣経営者: それ何?

♣税理士: 事業開始してから1年経たないと利用できないけど、年間240万円(最大800万円)まで

費用化出来て、簿外でプール出来ますよ。

♣経営者: それ、節税に良さそうじゃん。

♣税理士: そうですね。結構みんなやってますよ。

♣経営者: 。。。(そうじゃなくて、何で俺に提案していないの?ふぅ..)

♣経営者: 経営セーフティは分かったから他には何か節税に効くものないの?

♣税理士: う~ん。所得拡大促進税制は?

♣経営者: それ何?

♣税理士: 景気拡大のための国策で、従業員を増やして、1人当たりの給与が増えていれば、法人税の

20%(中小企業)を上限に税額の特別控除が出来るという制度です。

♣経営者: それは、俺が何か言わなくても、要件満たしたら、ちゃんと申告してくれるんだよね?

♣税理士: もちろんです(^_^;)

♣経営者: 他には?

♣税理士: 借上げ社宅と日当ですかね。

♣経営者: 知ってるでしょ、うちは持ち家の35年ローン! で、日当って?

♣税理士: 出張手当のことで、旅費規程を整えてその規定に従い、支給してもらいます。

所得税が非課税扱い(会社の旅費交通費扱い)で支給することが可能です。

♣経営者: いくらくらい?

♣税理士: そうですね~。国内の宿泊日当で5000円前後が相場では?でも1-2万円の設定をしている

会社もたまにありますけど。自分だけ出張日当を支給しちゃダメですよ。会社の制度として

導入してもらわないと。

♣経営者: ウチの商売、出張ないからなぁ。

♣経営者: ところで、節税って、税務調査があっても大丈夫なんだよね。

♣税理士: 基本的には

♣経営者: 基本的って。。。

♣税理士: ちゃんと説明しますね。ポイントは2つあります。

1つ目は、税法上の規定に従って節税しているケースです。基本的には問題ないんですが、租税回避が目的だった場合に『同族 会社等の行為又は計算の否認』規定にひっかからないか、ケアしないといけないんです。

(同族会社等の行為又は計算の否認)

第百三十二条   税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。

まず、この規定により追徴されるケースというのは実務経験上ないんですが、無視は出来ない規定なんです。具体的にどう判断すべきかは、ケースバイケースかつ税理士の見極めですね。

2つ目は、いわゆるグレーゾーン。グレーゾーンにも色々あるんですが、税法が現代社会についてきていなくて、規定のないものや、ピンポイントで規定はないけども類似する規定から税務判断せざるを得ないもの、そして納税者側の主観(客観事実で外堀はある程度埋められますが..)で税務判断が異なってくるものなどは、税理士と税務署の判断が異なり、戦わなければならない場合です。ある程度、勝ち目がないと税理士も経営者にOKを出さないと思いますが、それでも絶対に勝てる保証はないということです。その場合、通常税理士は予めリスクを説明しますけどね。

♣経営者: なんとなく分かったような。。

♣経営者: でも税務署が絶対手出し出来ないような、完璧な節税とかないのかね?

♣税理士: そうですね。節税保険なんかは節税効果が大きいからといって、税務署が簡単に否認対象にすることはないですね。でも、昨今は税務行政上支障(税務署から見て、看過出来ない租税回避のこと)があるとなれば、パブリックコメントを行って、そのあとに基本通達や個別通達(税法ではない、国税庁から税務署へのお達し)が出て、実質この通達により節税策を封じ込めるということをやっています。

♣経営者: 何か、ガツンと節税効果のあるものないのかなぁ

♣税理士: ガツンですか。。。社長、退職します?社長の場合、退職金で大体5000万円くらいはいけると思いますよ。

♣経営者: 勝手に辞めさせないでよ~また出直すわ

 

|-節税出来たかどうか、分からないことの本質とは?
節税とは、無策で臨んだ時の税額よりも圧縮出来た時に、「節税した」ということになりますが、スッキリ出来ない本質は、

『どれだけ税金を圧縮したら正解なのか分からない』

という点にあります。また税金を圧縮するに当たり、節税なのか脱税なのかグレーゾーンなのか税理士でない限りその線引きも出来ないのではないでしょうか。

税金が赤字でもかかる法人地方税均等割だけに出来れば、安心出来て、そうでなければ不安になる。。

たとえ法人が赤字でも、役員報酬が高額で個人所得税及び住民税はいっぱい払っていると、やはりこれでいいのかと自問自答したくなります。

果たして、正解のない難問なのでしょうか?税理士に相談しても、分かったような分からないような。。

その本質は、物差し(指標)がないことではないでしょうか。言い換えると、資格試験であれば、合格ラインが明確化されていて、一定の点数以上取れたら合格と認められ、本人も満足出来るが、もし合格ラインが明確化されずに、試験に落とされたら、落胆するとともに疑心暗鬼になるのではないでしょうか?

この物差し(指標)が節税という世界に存在しないことが、問題の本質と考えます。

何を物差しにしたら良いのか?

それがこのコラムの主題となります。

 

|-絶対的節税と時間的節税

節税には、今後5年、10年と長い期間の中で通算すると節税効果はゼロになる時間的節税と、どれだけの期間を通算しようとも節税効果は消滅しない絶対的節税があります。

絶対的節税:

特別控除(設備投資減税、所得拡大促進税制など)、法人の新設による消費税2ヶ年免税享受、所得分散による低税率の適用(法人であれば、複数法人化、個人場合は同族役員への役員報酬支給による所得分散)、退職金による1/2課税適用、長期譲渡所得による1/2課税適用など

時間的節税(課税の繰り延べ):

特別償却等早期償却、短期前払費用(最長12ヶ月分の費用計上)、節税保険(※一部例外あり)、経営セーフティ共済、匿名組合によるレバリッジドリースなど

この絶対的節税と時間的節税のどちらが良いという話ではありません。絶対的節税が実行出来れば、”お得”であることは間違いありませんが、いつでも思い立った時に出来るかというと、そういうものでもありません。時間的節税により課税の繰り延べを行いつつ、然るべきタイミングで絶対的節税を実行するという、組み合わせのアレンジが重要と言えます。

無駄遣い的節税(オマケ):

豪華な飲食、不要なパソコンの購入、視察?!旅行など

「税金を払うくらいなら、経費として使っちゃおう!」

合理性のありそうな、なさそうな、よくある話です。本質的な節税とは違います。。。

 

|-物差し(指標)は何?

1)収益 給与や事業でいくら稼いだか

2)税金 法人税(国税&地方税)や所得税&住民税

この収益に対していくら税金を負担したかを計測し、評価することを物差しとします。

 

|-節税を考える際、必ず押さえるべきアイテムとは?

<1> 基本的な所得控除

1)所得税 基礎控除(38万円)

1人あたり38万円(住民税では、33万円)

2)所得税 青色申告特別控除(65万円)

青色申告個人事業者に対し、1人あたり65万円(住民税でも同額OK)※但し、個人事業税では、65万円控除不可

3)所得税 給与所得控除額(65万円)

給与所得者に対して、1人あたり最低65万円(最大220万円)

4)所得税 退職所得控除額(最低80万円)

勤続20年までが年40万円(どんなに短くても最低80万円)、勤続20年超が年70万円の所得控除が認められます。

 

<2> 法人における超過累進性の優遇税率(中小企業など一定の要件を満たす前提で)

1)法人税率 課税所得800万円まで

平成29年度現在15%の税率が適用されています。800万円を超えた場合、その超えた部分については、23.4%となります。

2)法人事業税 課税所得800万円まで

平成29年度現在課税所得400万円までは、約4.9%(地方法人特別税含む)の税率が適用されています。また400万円超800万円までは約7.3%となります。800万円を超えた場合、その超えた部分については、約9.6%となります。

3)課税所得800万円までの実効税率は約23%

優遇された低税率の範囲において、実効税率は国税・地方税全て合わせて約23%となります。

 

<3> 優遇されている固定税率

1)株式譲渡所得に対する税率(20.315%)※住民税、復興特別所得税含む

上場会社も未公開会社(同族会社など)も同じ20.315%です。

2)退職所得に対する税率(給与所得税率の1/2 )

本当は課税所得が1/2となるのですが、理解する上では、税率が半分と理解するのが良いでしょう。結果所得税は、2.5%~22.5%、住民税は5%が適用となります。所得税&住民税で見ると、7.5%~27.5%となります。※一定の天下り規制の規定に該当してしまうと、1/2出来ない場合もあります。

3)5年超保有していた土地、建物を譲渡した場合の税率

 (分離課税20.315%)※住民税、復興特別所得税含む

売却代金から取得原価を控除した譲渡利益(キャピタルゲイン)に対する課税です。一定の居住用住居や買い替えなど更に、特別控除(所得控除)が適用されるケースも多いので、見落としのないようにしましょう。

4)非居住者に対する課税(15.315%~20.42%)

海外に生活の本拠を構え、日本に住んでいない場合、所得の内容に応じて約15-20%の源泉分離課税となります。

社債の利息 15.315%

貸付金の利子 20.42%

使用料(ロイヤリティ)20.42%

匿名組合利益の分配 20.42%

租税条約の適用により、匿名組合利益以外は、0-10%程度への減額が可能となるケースが多いと思われます。

 

|-ズバリ、物差し(指標)とすべきは?

優遇されている固定税率」を見て頂くと分かるかと思いますが、譲渡益課税(不動産や株式)や非居住者課税の税率が意図したか否かに係わらず20%に収れんしていることから、政府は税率として最低限確保したい税率の目安は、20%と考えることが出来ると思います。

すなわち、稼いだ利益の80%が自由資金として手元に残り、20%を国民の義務として国庫へ納めることを善しとすることで、どのように判断すべきか、行動すべきか、自己評価すべきかという問題がクリアになると考えます。

もちろん、各種の節税ツールを駆使し、20%より実効税率を低くすることを目指すことを否定するものではありません。特に年間の利益が数百万円(自己の役員報酬考慮前)の場合は、問題なく20%よりも低い税率に抑えることが出来ます。

年間1000万円を超える利益が生じる場合、そしてその利益が継続的に5-10年と続くことを前提に節税のプランを構築する上では、この20%を意識することが重要と考えます。

 

|-具体的なプランニング例とは?

1)節税保険の退職金化

王道かつポピュラーな手法ですが、毎期節税保険により費用計上し、税金を圧縮し5-20年後に退職する際、節税保険の解約返戻金を原資として、退職金を手にする方法です。毎年法人税や所得税で高い税率の課税を受けるのではなく、将来退職時に一時金として優遇された退職所得課税を受ける方法です。節税保険は、支払い時に費用計上(支払い額の1/2等)されていますので、解約することで利益が生じます。その利益を退職金という費用で相殺します。

2)個人が所有する会社組織の譲渡

昨今、太陽光発電ビジネスが活況(峠は過ぎたかもしれませんが)ですが、第三者に発電ビジネスを売る場合、通常発電ビジネスを行う会社ごと売却します。その際、その会社を所有しているのが個人の場合、売却益に総合課税が課されるのではなく、20.315%の分離課税で済んでしまいます。法人がその発電事業を行う会社の株式を保有していると、売却時の利益はその法人の利益として通常の課税を受け、さらに個人に還元するには役員給与等のカタチでさらに所得税の総合課税を受けることとなりますので、個人で株式を所有する場合と大きく税負担が変わることとなります。

3)5年超所有不動産の売却

築20年程度以上の中古不動産を収益物件として保有し、建物部分の減価償却が十分取れた時点で、売却することで、毎年の減価償却費を不動産所得のマイナスとして給与所得等他の総合課税の所得とぶつけることで、節税を図り、5-10年後に不動産を売却することで、生じた不動産譲渡益を20.315%の分離課税で済ます方法です。不動産の空室リスク、自然災害リスクや不動産市況の影響(海外不動産の場合はさらに為替リスクも..)も受けますので、安易に手を出すべきではありませんが一考の価値はある方法です。

その他、状況に応じてプランニングを行うこととなりますが、基本コンセプトは同じです。約20%の課税のみで残りの80%をフリーキャッシュとして手に入れることが重要です。

4)所得分散による税負担の圧縮

ここでは、詳しくは触れませんが、<1> 基本的な所得控除の1)~3)を最大限活用することで、超過累進税率のデメリットをメリットに変えることが可能となります。

 

まとめ

税負担の大局を捉える事が重要となります。そのための重要な数字は20%です。獲得した利益の80%をいかに個人の手元に運ぶ事が出来るかがポイントとなります。

また時間的節税で利益をプールし、絶対的節税で実現化させるというパターンを理解しましょう。

具体的なプランニングは、税理士と二人三脚で行っていくことが大切です。