延滞税の端数は切り捨てる?延滞税の計算ルール まとめ

延滞税の端数は切り捨てる?延滞税の計算ルール まとめ
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延滞税の端数は切り捨てる?延滞税の計算ルール まとめ


所得税や法人税、消費税などの国税を滞納すると、延滞税というペナルティを払わなければなりません。
そして延滞税は、滞納している期間が長くなるほど金額がどんどん積み重なっていくという性質があります。

今回は、

(1) 法定納期限の翌日から2か月以内に納税した場合
(2) 法定納期限の翌日から2か月を過ぎて納税した場合
(3) 税務調査を受けたあとに修正申告をした場合

という3パターンの事例を例にあげて、延滞税の計算ルールを解説していきます。

|-法定納期限の翌日から2か月以内の場合

法定納期限の翌日から2か月以内に完納した場合の延滞税の税率は、原則として年7.3%が適用されます。
しかし実際に適用されるのは、特例基準割合(経済情勢に応じた金利+1%)という税率と比較して、どちらか安いほうになります。
平成29年1月1日から同年12月31日の期間に本税と延滞税を納付する場合は、特例基準割合+1%が2.7%となります。
そのため、延滞税の税率は7.3%ではなく2.7%が適用されます。

また、納付すべき税金の額が10,000円に満たない場合は端数切り捨てとなるため、納付する必要がありません。
本税が9,999円までなら、延滞税は0円です。
10,000円以上の税金から延滞税が発生するということになります。

|-法定納期限の翌日から2か月を過ぎた場合

法定納期限の翌日から2か月経過して完納した場合の延滞税の税率は、原則として年14.6%が適用されます。
しかし先ほど同様に、実際に適用されるのは特例基準割合(経済情勢に応じた金利+7.3%)と比較して、どちらか安いほうになります。
平成29年1月1日から同年12月31日の期間に納付期限から2か月を過ぎて本税と延滞税を納付する場合は、特例基準割合+7.3%が9.0%となります。
そのため、延滞税の税率は14.6%ではなく9.0%が適用されます。

法定納期限から2か月を過ぎた場合でも、10,000円未満の税金には延滞税がかかることはありません。
先ほど解説したように10,000円未満の本税は切り捨てられてしまうからです。
さらに、本税が10,000円以上で延滞税が発生した場合でも、延滞税の計算結果が1000円未満の場合は切り捨てられるため、納付義務が消滅します。
つまり、延滞税は支払わなくてもよいということになります。
また、100円未満の延滞税の端数切り捨てとなるため、100円単位での納付になります。

|-税務調査を受けたあとに修正申告をした場合

税務調査を受けたあとに修正申告をした場合、延滞税が免除される特例が適用されます。
脱税などの不正行為があると認められる場合は、延滞税免除の特例は適用されません。

延滞税が免除される流れは、以下のとおりとなります。

(1) 法定期限日までに確定申告と納税を行う
(2) その後税務調査を受けて、修正申告と納税を同時に行う
(3) 納税額が間違っていたため、普通なら(1)の法定期限日から(2)の修正申告書を提出した日までの日数分に延滞税がかかる
(4) しかし偽装などの不正行為がないと認められれば、(1)の法定期限日+1年から(2)の修正申告書提出日までの期間は延滞税が免除される
(5) 偽装などの不正行為があり重加算税が課される場合は、(3)の延滞税は免除されない

法定期限日を過ぎて期限後申告になってしまった場合でも、偽装などの不正行為がなければ上記の特例が適用されます。

まとめ

延滞税には下記5つのルールがあります。

(1) 延滞税の税率は法定納期限の翌日から2か月目を境に急に上がる
(2) 本税が10,000円未満の場合は切り捨てとなり、延滞税の納付義務がなくなるため支払わなくてもよい
(3) 延滞税の計算結果が1000円未満の場合は切り捨てとなり、延滞税の納付義務がなくなるため支払わなくてもよい
(4) 100円未満の延滞税は切り捨てとなる
(5) 不正行為などがなければ1年以上の延滞税が免除されることがある

もちろん国税を滞納しないようにするのが一番ですが、もし納期限を過ぎてしまっても切り捨てのルールが適用されるかもしれないということを覚えておけば、冷静に対応することができるようになります。

参考URL
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/entaizei/entai.htm
http://www.tax-a.net/blog/tax-avoidance/946/
http://www.futaba-ta.net/tax_info/taxinfomation5.html

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